秋草蒔絵折敷
データ
時代 | 桃山時代(16世紀) |
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素材・技法 | |
サイズ | 二枚 各 22・7×33.4㎝ 高3.8㎝ |
解説
四周に立ち上がりをつけた方形・角切りの折敷で、二枚一組となっている。木製の素地に布着せを施して黒漆を厚くかけ、菊・薄(すすき)・萩などの秋草を写生風に平蒔絵の蒔き放しの技で表している。秋草文様は、古くから日本人独特の季節感や感受性を代表する図柄として愛好され、特に源氏物語絵巻などの王朝絵画遺品にきわめて情緒豊かに表現されている。この伝統的な意匠は、桃山時代の代表的な高台寺蒔絵の主文様として取り上げられるようになり、そこではこの時代特有の豪華な表現が見られる。この二枚の折敷には、針描(はりがき)や絵梨地を文様中に多用して、色彩文様に変化をつけ、粉の蒔き方にも工夫をこらすなど、秋草それぞれの趣きが新鮮に華やかに表現されている。