重要美術品
双鸞宝相華八花鏡
データ
時代 | 中国・唐時代(8世紀) |
---|---|
素材・技法 | 白銅造 一面 |
サイズ | 径 21.9㎝ |
解説
縁が八花形をした鏡で、丸い無文の鈕を中心にして広い内区が設けられ、細い突線の外側に狭い外区がある。内区には鈕を挟んで左右に綬(じゅ)をくわえた鸞を二羽相対して置き、上方には宝相華文、下方には中央に仙岳を、その左右に宝相華文を配す。外区には飛雲文と瑞枝文とを交互に配している。この種の鏡の典型的な形式を示しており、鋳成は鮮麗で、鏡面の一部、鏡背の外区のあたりに青錆が見られるが、他はまったく完好で、美しい白光の色沢をしている。文様の肉取りは、二羽の鸞を特に肉厚にして、文様を引き締めている。綬をくわえる鳥の姿態は唐時代の特色を示すものであり、わが国の正倉院その他の工芸品にも伝わるが、後の和鏡においては松喰鶴文様へと変化する。また、仙人の住むような山の模様、すなわち仙岳は唐時代の人に喜ばれた吉祥文様である。文様がよく整い、唐時代らしい華やかさの見られる鏡である。