重要美術品

鸚鵡宝相華八花鏡

データ

時代 中国・唐時代(8世紀)
素材・技法 白銅造 一面
サイズ 径24.2㎝

解説

錫を多く含んだ白銅を用いて鋳造した八花形の鏡である。背面の文様は、無文の丸い鈕を中心に、上下に宝相華、左右には綬(じゅ)をくわえた鸚鵡を相称形に配した豊麗なものである。文様の鋳出にやや不鮮明なところが見られるが、全体に丹念な削り仕上げが施され、見事なものとなっている。また、白銀色の上に鮮やかな青錆が見られ、表面の一部に布片が付着しているところから出土鏡であることが知られる。この鏡のように、上下に宝相華、左右に鳥獣を対向させる図様は、海獣葡萄鏡や伯牙弾琴(はくがだんきん)鏡と並んで、唐鏡の典型的な文様形式の一つであり、八花形もまた八稜形とともに唐時代に入って流行した鏡式である。本図の鏡は宝相華と鸚鵡を相対させる文様であるが、これとまったく同一構図のものが、米国のメトロポリタン美術館に収蔵されており、他にもまだ同文様の鏡があることも知られている。このことは、同文様の唐鏡がある程度量産されていたことを示すものであり、唐時代の鋳造法を知る上で重要な意味をもっているといえよう。

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