重要美術品
三鈷鈴
データ
時代 | 鎌倉時代(13世紀) |
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素材・技法 | 銅造鍍金 一口 |
サイズ | 高19.5㎝ |
解説
要美術品
三鈷鈴は、密教法具の中では五鈷鈴に比して遺例が少ない。金銅製で、三鈷はやや扁平な八角面取りの中央鈷と牛角状の脇鈷で構成し、把部には、中央に鬼目(きもく)八個をめぐらし、その上下を、八角形の二条のくくり目で留めた複弁の蓮弁文で飾っている。鈴体は撫(な)で肩で、裾へなだらかな広がりをもち、二条ないし三条になった四組の条帯を刻している。内部には八角面取りの露状の舌(ぜつ)を鉄鐶で垂れ下げている。鈴体と把部から上とが別々に鋳造されており、把部の下端を鈴体に差し込み、内側でからくり留めにしている。三鈷鈴の鬼目は通常四個であるが、本図のものは八個を縦目に連ねるという珍しい形をしている。この異形の鬼目は、鎌倉期の作である尊永寺蔵の五種鈴の鬼目と一脈通ずるものがある。把部の作りが全体に扁平になっていること、鈴体が撫で肩ですんなりしていることなど、古式を思わせるが、蓮弁や三鈷の形式からみて鎌倉時代中期の作と考えられる。