重要文化財

北方天眷属像

データ

作者 康円
時代 鎌倉時代 文永4年(1267)
素材・技法 木造彩色 一躯
サイズ 総高39.6㎝ 像高32.3㎝

解説

仏法を守護する四天王の一つである多聞天(たもんてん)は、毘沙門天(びしゃもんてん)ともいい、また帝釈天を主とする須弥山の北方中腹に宮殿を構えて北方守護にあたるところから北方天とも呼ばれる。本図の像はその北方天の眷属像で、中国には遺例が多いが、わが国では図像などの絵画に若干の例を見るにすぎず、彫像としては本像を含む四躯一組以外に遺例を見ない。この像は、小像ながら鎌倉彫刻の一つの特色である写実性が強く、はだけた胸の感じや服装にはリアルな表現が示されている。また衣全体に金泥(きんでい)による繊細な文様が描かれている。この像の旧台座裏には文永4年大仏師康円によって造立され、奈良内山永久寺真言堂に四天王四眷属の一つとして納められていた旨の墨書銘がある。康円は、鎌倉時代初期の巨匠大仏師運慶から数えて三代目にあたる慶派の仏師で、鎌倉時代後期を代表する一人である。

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