五彩透彫龍文長方合子
データ
作者 | 景徳鎮窯 |
---|---|
時代 | 中国・明時代 万暦年間(1573~1620) |
素材・技法 | |
サイズ | 一合 口径31.9×21.9㎝ 総高10.9㎝ 高台径27.0×16.5㎝ |
解説
嘉靖(1522~66)から万暦年間にかけての磁器を代表するのは五彩をはじめとする彩色磁器である。万暦年間の五彩は、わが国では万暦赤絵と呼ばれ、古くから中国の赤絵の代表のようにみなして珍重されてきた。この合子は、器の全面に龍文を主とする各種の文様をびっしりと描き詰めた華やかな作品で、蓋の甲の格狭間形の周囲には七宝繋ぎの文様を、丹念な透かし彫りで表して、装飾に変化を加えている。文様に青花(せいか)と上絵付けとを併用して、しかも破綻がないのは、嘉靖年間以後の五彩の特色であろう。このように器面全体を細かい文様で覆う手法は、万暦年間になって特に流行したもので、おそらくこの合子も万暦年間中頃の作で、五彩の陶技の熟達のほどを示す類例の稀な優品である。底裏に「大明万暦年製」の年款が青花で記されている。