重要文化財

愛染明王像

データ

時代 鎌倉時代 嘉暦2年(1327)
素材・技法 絹本著色 一幅
サイズ 137.0×90.3㎝

解説

愛染明王は、煩悩を転じて菩提心となす働きをもち、敬愛や増益を祈願する本尊として描かれる。本図の愛染明王は、美しく飾った宝瓶上に載る赤色の円相中に、蓮華座に坐す三目六臂(ぴ)の姿で表されている。頭部には羯磨(かつま)(三鈷杵を十字に組んだ形の法具)を付けた獅子冠をかぶり、左の三手に五鈷鈴(ごこれい)・弓・宝珠を、右の三手には五鈷杵(ごこしょ)・矢・蓮華を持っている。面相は、逆立った髪、大きく開いた三眼、阿形の口を持つ忿怒相で、全身赤色に表されている。特にこの像のように、左第三手に宝珠を捧げる姿は、増益祈願の本尊と見られるものである。身体に付けた宝飾には、切金(きりかね)の技法や金泥(きんでい)を使った表現が多く用いられ、精緻で入念な作行が注目される。本図の旧軸心には、嘉暦二年宗像三郎兵衛尉重業法師が、弘法大師筆、行海僧正銘の画像を写して、京都愛染院に奉納した旨の墨書銘があり、制作年代、施入者、制作意図が判る。

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