重要美術品

伊勢物語図

データ

作者 岩佐又兵衛勝以
時代 江戸時代(17世紀)
素材・技法 紙本著色 一幅
サイズ 35.7×56.4㎝

解説

岩佐又兵衛勝以と同時期の、やまと絵の復興を目ざした琳派・土佐派・住吉派などは、いずれも王朝文学の代表的な作品である『源氏物語』や『伊勢物語』などを画題としてとりあげているが、勝以もまた同様に、本図のような作品を残している。  本図は、『伊勢物語』の「東下り」の段に含まれる宇津の山路を描いたもので、勝以得意の銀泥(ぎんでい)と墨を使った霞引きによって、遠くの山路と、木陰で休む業平一行という近景とが、くっきりと距てられている。線は繊細で、暈(ぼか)しをうまく使った奥行きのある表現、人物や樹木の確かな描写、それに霞を使った画面構成など、念入りな仕上がりの作品になっている。衣の文様のやまと絵的な描き方と風景の漢画的な描法との折衷は、勝以画における大きな特色である。

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