伊勢物語 西の対図

データ

作者 伝 俵屋宗達
時代 江戸時代(17世紀)
素材・技法 紙本著色 一幅
サイズ 24.5×21.2㎝

解説

『源氏物語』や『伊勢物語』などの物語絵は、古典美の復興と転生を願った宗達が好んで取り上げた画題である。宗達筆と伝えられる伊勢物語図は、現在四十七図が伝えられており、いずれも無款でほぼ同じ大きさの色紙形に描かれ、そのうちの五図を除くすべてに詞が書かれている。その裏書から、能書家の公家や町衆などが詞書を寄り合い書きした揃物であったことが知られる。この図は『伊勢物語』中、「西の対」の段で、在原業平(ありわらのなりひら)とされる男が、かつて懸想した貴婦人(二条后宮)の旧屋を訪ねる場面である。画中の人物像は、繊細な目鼻立ちの引目鉤鼻 (ひきめかぎはな)風に描かれ、金雲に溶けこむように、建物や背景の山々が描かれる。画面に表れるこうした夢幻的情感が、宗達筆といわれる彩色物語絵の特色である。
(詞書)
月やあらぬ春やむかしのはるならぬ
わか身ひとつはもとの身にして

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