重要文化財

継色紙

データ

作者 伝 小野道風
時代 平安時代(10世紀中期)
素材・技法 紙本墨書 一幅
サイズ 13.4×26.9㎝

解説

『万葉集』や『古今和歌集』などから秀歌を撰した未詳の歌集の断簡である。本来は色紙ではなく、粘葉装(でつちようそう)の冊子本であった。約二十首が現存し、そのうち十六首半が、明治39年(1906)まで升形の冊子本として、加賀大聖寺の前田家に伝存していた。見開きの部分のみに料紙二枚にわたって和歌が一首書写され、ちょうど色紙を継いだように見えるので継色紙と呼ばれる。継色紙の名称は、江戸時代後期の『古筆名葉集』(文化元年〈1804〉刊)や『増補新撰古筆名葉集』には見えないので、比較的新しい時期に名づけられたものと思われる。本図の一葉は、『古今和歌集』巻第十七雑上の歌で、自然な趣きのある、余白美を十分に生かした散らし書きは見事である。また、独特の草仮名を使用しているのにも特色がある。ことに「家」(か)・「散」(さ)・「露」(ろ)・「類」(る)などの字である。継色紙は、三色紙の一つとして古筆中、屈指の優品であり、茶室の掛物としても愛玩され珍重されてきた。
わたつみのか
さしにさ
けるしろた
への
なみもて
ゆへる
あはちしま

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