イベント

イベント

熱海座春公演
4月26日(土)

2025.04.26(土) 13:30 - 16:00

概要

『平家物語』は、平安末期から鎌倉初期にかけての日本を舞台に、平家一門の栄華と衰退を通して、人間の栄枯盛衰と無常観を描いた軍記物語の傑作です。戦乱に翻弄される武士や貴族たちの運命だけでなく、彼らの喜びや悲しみ、誇りや後悔といった感情が、情感豊かに描かれ、今も多くの人に愛され続けています。その影響は、能や歌舞伎、文学、美術工芸など、さまざまな日本の伝統文化にも受け継がれています。中でも「俊寛」は、平家打倒の密談すなわち鹿ヶ谷の陰謀に加わったとして流刑となった俊寛僧都の悲劇的な運命を描いた物語です。
流刑の地、鬼界ヶ島で望郷の日々を送っていた俊寛僧都、丹波少将成経、平判官入道康頼のもとに、ある日赦免状を携えた船が訪れます。しかし赦免状には成経と康頼の名だけが記されており、俊寛は独り島に取り残されることになります。信じがたい悲運に見舞われた俊寛が見せる焦燥と不安、そして絶望の深淵に沈んでいく姿は、観る者の胸に重く迫ります。
「俊寛」は謡曲の中でも最も悲劇的な曲の一つですが、古来より人は悲劇を愛してきました。西洋では紀元前5世紀頃にギリシア悲劇が成立し、人々はカタルシスを求めて劇場に足を運びました。カタルシスは「浄化」と訳されますが、悲しい時に涙が出るのは心を洗う為なのかも知れません。悲劇的な運命を辿る主人公に共感し、抑圧されていた感情の解放を求める気持ちは、今も昔も変わらないのではないでしょうか。
今回、主人公の俊寛を演じるのはシテ方金剛流二十六世宗家で人間国宝(重要無形文化財各個認定保持者)の金剛永謹です。小鼓方大倉流の人間国宝、大倉源次郎との共演も見どころです。
日本史を彩る一大叙事詩『平家物語』の世界を、名曲「俊寛」でどうぞお楽しみください。

◆日程

2025年4月26日(土)

13:30開演 12:30開場

16:00終了予定 ※ 終演時間は前後することがあります。

◆仕舞
  • 「熊野 キリ」 今井清隆
  • 「船橋」  種田道一
◆能 金剛流「俊寛」

-出演者-

  • シテ 俊寛: 金剛流二十六世宗家 金剛永謹 重要無形文化財保持者(人間国宝)
  • ツレ 平判官入道康頼: 金剛龍謹
  • ツレ 丹波少将成経: 向井弘記
  • ワキ 赦免使:宝生常三
  • 間 船頭:山本則秀
  • 笛:一噌隆之
  • 小鼓:大倉源次郎 重要無形文化財保持者(人間国宝)
  • 大鼓:安福光雄

金剛永謹プロフィール写真

金剛流二十六世宗家 金剛永謹

1951年、二十五世宗家金剛巌の長男として京都に生まれる。幼少より、父・金剛巌に師事。1998年9月能楽金剛流二十六世宗家を継承する。2003年5月金剛能楽堂を京都御所の西向かいに移転、竣工。「舞金剛」と呼ばれる華麗で躍動感溢れる金剛流独特の芸風に、「京金剛」といわれる優美で雅やかさが加わった芸風を特徴とし、シテ方五流宗家の中で唯一関西を本拠地とする。金剛流第一回の海外公演であるカナダ・アメリカ公演団長を皮切りに、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ロシアなどでの海外公演も多数行う。京都市芸術新人賞、京都府文化賞新人賞、京都府文化賞功労賞受賞。京都市文化功労者表彰。第67回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2018年紫綬褒章受章。令和4年度恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2023年重要無形文化財「能楽」各個認定保持者(人間国宝)。フランス芸術文化勲章オフィシエ受章。公益財団法人金剛能楽堂財団理事長。一般社団法人日本能楽会会長。一般社団法人金剛会代表理事。一般社団法人金剛能楽会代表理事。京都市立芸術大学客員教授。著書に『金剛家の面』、『金剛宗家の能面と能装束』がある。

◆狂言 大蔵流「蝸牛」

-出演者-

  • シテ 山伏: 山本泰太郎
  • アド 主: 若林隆
  • アド 太郎冠者: 山本則孝
◆料金
熱海座春公演
SS席 8,800円(友の会7,700円)
S席 7,700円(友の会6,600円)
A席 5,500円(友の会4,400円)
B席 4,400円(友の会3,300円)

※料金は全て税込み

◆チケット購入方法

【MOA美術館公式オンラインチケット】及び【電話予約】にてお求めいただけます。