展覧会
北斎「冨嶽三十六景」
2017.07.21(金) - 2017.08.29(火)
夏休みコレクション展

概要
葛飾北斎(1760-1849)は、90歳で没するまでの約70年にわたり、狂歌絵本、読本、絵手本、錦絵、肉筆画など次々と新たな分野で活躍し、その画業は、在世当時からヨーロッパに伝わり、のちの印象派の画家などに大きな影響を及ぼしました。
なかでも、天保2年(1831)頃より西村永寿堂から刊行された「冨嶽三十六景」は、当時の富士信仰の盛行を背景に、斬新な構図や西洋から輸入された化学顔料ベロ藍による鮮やかな発色で人気を博しました。浮世絵風景版画というジャンルを確立させた記念碑的な作品で、追加出版された俗に「裏富士」とよばれる10図を加えた46図からなります。MOA美術館の最高傑作「凱風快晴」は、摺り、状態ともに極めて優れた有数の一枚です。
本展では、夏休みにあわせ子どもから大人まで親しまれている「冨嶽三十六景」全46図を一挙に公開します。世界に誇る北斎の傑作をご家族でご鑑賞ください。
みどころ
◆「冨嶽三十六景」全46図を3年ぶりに一挙公開
「冨嶽三十六景」は、さまざまな気象、季節、視点などから富士を捉え、その異なる山容の表情を表現しようとしたもので、全46図からなります。全図が揃うコレクションは希少とされています。本展では、「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」「山下白雨」のいわゆる「三役」をはじめ所蔵する「冨嶽三十六景」全46図を2014年以来、3年ぶりに展観します。
リニューアルオープンして新しくなった低反射高透過ガラスで、摺りの風合や細部の表現までご鑑賞ください。本展では、写真撮影も可能です。
◆摺り、状態ともに屈指の名作「凱風快晴」を公開
MOA美術館所蔵の「凱風快晴」は、裾野から山の中腹あたりまで薄くぼかし上げ、空も薄い仕上がりを見せるもので、非常に早い時期の摺りと考えられています。数ある「凱風快晴」の中でも、摺り、状態ともに優れた本図を通して、「冨嶽三十六景」の魅力をご堪能ください。
◆広重の東海道五十三次も合わせて展示
「冨嶽三十六景」などの北斎作品に強い影響を受けた歌川広重が制作した保永堂版「東海道五十三次」のうち約20図をセレクトして展示します。江戸末期の2大浮世絵風景版画を同時にお楽しみください。
◆夏休みとあわせ多彩なイベントも同時に開催
本展が開催される2017年7月21日(金)~8月29日(火)は、子どもたちの夏休みと重なります。クイズラリー、親子能楽教室などファミリーで楽しめる多彩なイベントを用意しています。
会期中のイベント
1、当館学芸員による美術セミナー
北斎「冨嶽三十六景」
日時:2017年7月29日(土)13:30~14:20
場所:MOA美術館
料金:無料(入館料は別途必要)
2、みんなで楽しむ冨嶽三十六景セミナー
日時:2017年8月5日(土)、12日(土)13:30~14:00
場所:MOA美術館 スタジオ
内容:ワークシートを使い、子どもたちでも、楽しみながら「冨嶽三十六景」についての関心を持てるセミナーです。
対象:小学校3年生以上(大人のみの参加も可能)
料金:無料(先着100名)別途入館料必要