展覧会
光琳 国宝「紅白梅図屏風」×重文「風神雷神図屏風」
2024.11.01(金) - 2024.11.26(火)
概要
国宝「紅白梅図屏風」は、中央の水流を隔てて紅白の梅樹が対峙する緊張感のある構図で、梅花や水流には意匠的な表現とあいまって光琳の画業の集大成といわれています。重文「風神雷神図屏風」は、光琳が私淑する俵屋宗達(?-1643)の名品を大きさも形もほぼ同様に写して描き上げたもので、そのモチーフや構図から国宝「紅白梅図屏風」との関連性が指摘されています。
本展覧会では、この同時展観の他、宗達作品の学習から生まれた光琳の名品や所蔵の琳派作品を紹介します。また、安田靱彦筆「風神雷神図」(遠山記念館)やNHK Eテレ『びじゅチューン!』で知られる井上涼の「風神雷神図屏風デート」など、風神雷神をテーマとする近現代の作品もあわせて紹介します。
みどころ1
国宝「紅白梅図屏風」と重文「風神雷神図屏風」を39年ぶりに一堂に展観
国宝 「紅白梅図屏風」 尾形光琳 MOA美術館蔵
重文 「風神雷神図屏風」 尾形光琳 東京国立博物館蔵
Image: TNM Image Archives
みどころ2
光琳をはじめとする琳派の名品を展観
重文「竹梅図屏風」 尾形光琳 東京国立博物館蔵
Image: TNM Image Archives
重文「扇面貼交手筥」 尾形光琳筆 大和文華館蔵
「絖地秋草模様描絵小袖」 伝 尾形光琳 MOA美術館蔵
重美「紫式部図」 尾形光琳 MOA美術館蔵
紫式部が石山寺で月を見て源氏物語の構想を得たという伝承をもとに、湖面に映る月を眺めながら執筆する姿を描いている。中央の花頭窓(かとうまど)や庇(ひさし)の水平線などの造形要素に、光琳の幾何学的形態への興味を伺い知ることができる。
「秋好中宮図」 尾形光琳 MOA美術館蔵
『源氏物語』の「少女」に取材したもので、秋好中宮が蓋に色とりどりの紅葉を乗せ、文を添えて紫の上のもとへ届けさせたというストーリーを、雅やかな情緒を漂わせながら描いている。
「伊勢物語図 西の対」伝 俵屋宗達 MOA美術館蔵
『伊勢物語』中、「西の対」の段で、在原業平とされる男が、かつて想いをよせた貴婦人(二条后宮)の旧屋敷を訪ねる場面である。人物は、繊細な目鼻立ちの引目鉤鼻(ひきめかぎはな)風に、建物や背景は、金雲に溶け込むように描かれている。
重文「色絵十二ヶ月歌絵皿」尾形乾山 MOA美術館蔵
藤原定家の和歌に因んだもので、年代の確かな作品として貴重である。裏に花と鳥の歌を各々一首書き、皿内面には歌の題材を色絵で描いている。「十二月」の皿の裏に、乾山銘が記されている。
重美「雪月花図」酒井抱一 MOA美術館蔵
雪月花は、わが国の季節感を端的に物語る画題である。抱一は、三幅を並置した時の相互の画面構成を考慮して描いており、デザイナーとしての面目が躍如としている。晩年60歳の作品。
みどころ3
風神雷神をテーマとした近現代の作品を紹介
明治以降、独自の表現で風神雷神のモチーフに挑戦した今村紫紅(1880〜1916)や安田靱彦(1884〜1978)の作品をはじめ、現代の土屋禮一、さらにはNHKの番組を通して宗達の「風神雷神図屏風」をモチーフにアニメーションを制作した井上涼の作品を紹介します。
「風神雷神図」 今村紫紅 (1911年) 東京国立博物館蔵
※展示期間:11月1日〜11月12日
Image: TNM Image Archives
「風神雷神図」 安田靱彦(昭和4年) 遠山記念館蔵
「風」(右) 「雷」 (左) 北斎漫画三編より 葛飾北斎 江戸時代19世紀 個人蔵
出現(雷神) 土屋禮一 2021年 個人蔵
青空騒ぐ(風神) 土屋禮一 2022年 個人蔵
「風神雷神図屏風デート」 井上涼 (2020年) ©︎NHK ・井上涼 2024
みどころ4
当館デジタル課スタッフによるオリジナル・フィルム・プロジェクションの上映
国宝「紅白梅図屏風」と重文「風神雷神図屏風」をテーマに制作現場と考えられる光琳屋敷の映像も交えながらオリジナル動画のプロジェクションを行います。