展覧会

名品展 国宝「紅白梅図屏風」

2021.01.22(金) - 2021.03.09(火)

概要

MOA美術館のコレクションは、創立者・岡田茂吉(1882 ~ 1955)が蒐集した日本・中国をはじめとする東洋美術を中心に構成されています。
その内容は、絵画、書跡、彫刻、工芸等、多岐にわたり、各時代の美術文化を語る上で欠くことの出来ない作品を含んでいます。なかでも国宝「紅白梅図屏風」は、江戸中期の絵師・尾形光琳の最高傑作と高く評されています。本作品は二曲一双の金地を背景に白梅と紅梅を対峙させ、図案化した梅花や水流を配し装飾的な画面をつくりあげています。
本展では、「紅白梅図屏風」をはじめ京焼の大成者・野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」、三大手鑑の一つとして著名な手鑑「翰墨城」の国宝3件の同時公開に加え、「洋人奏楽図屏風」、「山水人物蒔絵手箱」、「聖観音菩薩立像」などコレクションの各ジャンルを代表する名品を精選して展観します。

 

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国宝 紅白梅図屏風 尾形光琳 江戸時代
白梅の樹幹は大部分を画面外にかくし、紅梅は画面いっぱいに描いて左右に対照の妙をみせ、 中央に水流をおいて末広がりの微妙な曲面をつくり上げた光琳の独創的な構図が見事である。後に「光琳梅」として愛好される花弁を線書きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみ られるたらし込み、更に卓越した筆さばきをみせる水紋など、優れた要素が結集して、画面 に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えている。光琳晩年の作と思われ、津軽家に伝来した。


国宝 色絵藤花文茶壺 野々村仁清 江戸時代 
京焼色絵陶器の大成者、仁清の数々の遺作中、この茶壺は最高の名作として名高い。艶麗優 美な、装飾性豊かな作行で、京風文化の象徴ともいえる。温かみのある白釉の上に、巧みな 構図で藤の花が、赤や緑、紫、金、銀などで描かれている。轆轤の名手として知られる仁清 が薄く均等に挽き上げた端正な姿で、文様と器形が優れた調和を見せ、底裏に「仁清」大印が 捺されている。丸亀藩主京極家伝来。


国宝 手鑑「翰墨城」 奈良時代~室町時代
手鑑「翰墨城」は、「藻塩草」(京都国立博物館蔵)「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに、古筆 三大手鑑の一つとして名高い。「翰墨城」の名は、翰(筆)と墨によって築かれた城という意味 で、まさに名筆の宝庫にふさわしい名称といえる。奈良時代から南北朝・室町時代の各時代 にわたる古筆切が、311葉収められている。古筆家に伝来し、後に益田家が旧蔵。


重文 聖観音菩薩立像 奈良時代
聖観音は、諸々の災いや罪から、様々に姿を変えて衆生を救済する観音菩薩の基本となる姿 である。本像は、頭頂部から蓮華の台座までを一木から彫り出す技法で制作された檀像で、 量感ある体躯の表現、衣や宝飾の綿密な彫り出しなどに、中国唐時代彫刻の影響をみること ができる。比叡山延暦寺に伝来した。


重文 平兼盛像(佐竹本三十六歌仙切) 鎌倉時代
現存する歌仙絵のうち、秋田藩主佐竹家に伝来した佐竹本と呼ばれる2巻の歌仙絵巻が最も 古いものとされる。目鼻立ちには簡潔で的確な線が伸びやかに施され、眉の描写では細線を 数回引き重ねて豊かな表情が表されるなど、優れた技巧を示している。


重文 山水人物蒔絵手箱 鎌倉時代
蓋表の文様は上流から急流を下る筏流を描き、近景の水面には柴舟二隻、鵜飼舟、蛇籠が見られる。蓋鬘と身の四側面は文様が連続して描かれ、網を担いで橋を渡る人物、柴舟と水車、 水上には楓の葉が散らされている。益田家伝来。


重文 洋人奏楽図屏風(部分) 桃山時代
キリスト教の伝来によって宣教師たちが運営したセミナリオで、ヨーロッパ絵画の主題や技 術が、主に聖画や銅版画を中心に教授されたらしい。この屏風も、洋画教育を施された日本 人によって描かれたものであろう。以前の日本画には見られない陰影のある立体表現など、 外来技法習得の跡が見られ、日本絵画史上特異な画風として注目される。


重文 色絵桃花文皿 鍋島 江戸時代
鍋島藩が巨費を投じ藩窯で焼かれた鍋島焼は、極めて精巧なやきものである。これは鍋島焼 としては遺品が極めて少ない大皿(尺皿)の一つで、殊に名作として古来名高い。やや深い立 ち上りを持つ正円の皿に高い高台を付け、透明性白釉の下に染付で桃の樹を描き、淡い呉須 を用いて地色を表し、桃の実と葉は赤、黄、緑の上絵具で彩っている。特に果実に用いた点 描などに鍋島独特の高い技術が窺える。