展覧会
没後80年 竹内栖鳳 -躍動する生命-
2021.06.11(金) - 2021.07.27(火)
概要
明治以降のわが国の美術界は、西洋の芸術思想や表現の導入と、伝統との狭間で揺れ動きました。そのような時代にあって、明治から昭和にかけて、京都画壇の中心として活躍した人物が竹内栖鳳(1864-1942)です。栖鳳は四条派の伝統を引き継ぎながら、狩野派や文人画、西洋の写実表現など様々な画法を学びました。その飽くなき探求心はやがて栖鳳独自の表現を生み出し、近代京都画壇に革新をもたらしました。
栖鳳は特に動物画を得意とし、鹿や雀などの動物を毛並みやふとした仕草まで入念な観察で捉え、鳴き声が聞こえそうなほどの生命力を表現しました。本展では、栖鳳の没後80年を記念し、「熊」「夏鹿」「若き家鴨」「宇佐幾」など、躍動的に描かれた優品の数々をご紹介いたします。
栖鳳は特に動物画を得意とし、鹿や雀などの動物を毛並みやふとした仕草まで入念な観察で捉え、鳴き声が聞こえそうなほどの生命力を表現しました。本展では、栖鳳の没後80年を記念し、「熊」「夏鹿」「若き家鴨」「宇佐幾」など、躍動的に描かれた優品の数々をご紹介いたします。
熊 明治43年(1910) 京都市美術館
みどころ
1.躍動的に描かれた動物たち
栖鳳の作品には、あたかも瞬間を切り取ったかのように、動物たちが躍動的に描かれています。栖鳳
は、動きまわる動物たちを描写する上で、「私は写生をする場合、単に表面的な動静を観るばかりでな
く、時々刻々に変化する動物の姿態を種々に観察して、それから彼等の特色をはっきり掴むと云ふ方
法を執つてゐる」と述べています。
夏鹿 昭和11年(1936) MOA美術館
雄風 昭和15年(1940) 京都市美術館
2.動物へのまなざし
栖鳳は兎、猿、家鴨などを自宅で飼い、写生をしました。栖鳳の師、幸野楳嶺(こうのばいれい)は「画家にとっ
ての写生帖は武士の帯刀」であると説き、写生を奨励しました。栖鳳は師の教えを励行し、動物の生
態をよく観察し写生することによって、「けものを描けば、その匂いまで表現できる」と言われるほど
生気ある動物画を描きました。
宇佐幾 昭和14年(1939)頃 町立湯河原美術館
喜雀 昭和15年(1940) 町立湯河原美術館
若き家鴨 昭和12年(1937) 京都国立近代美術館
3.詩情あふれる自然
栖鳳は西洋や中国の風景や風俗、芸術に関心を寄せ、自らの画風へと取り込みました。飽くなき探求
によって生み出された栖鳳の作品には、時に濃淡や滲みが活用され、自然やそこに住まう生命が情緒
豊かに表現されています。
南清風色 大正15年(1926)頃 京都国立近代美術館
蕭条 明治37年(1904)頃 京都国立近代美術館